西軍の裏切りといえば、小早川秀秋も開戦当日に裏切り、東軍勝利へと戦局を大いに傾けましたが、実はこれも、関ヶ原開戦の数週間前にあたる8月28日に家康から秀秋に東軍への寝返りを求める書状が送られており、9月14日の時点で家康が秀秋からの合意を受け取っていた、と歴史学者・黒田基樹氏の研究で判明しています。つまり関ヶ原の戦いの勝敗は、開戦以前にほぼ決していたわけですね。
もちろん、輝元が土壇場で家康を再び裏切り、西軍総大将としての役目を全うしていたのなら、歴史は変わっていたかもしれませんが、輝元がそうしなかったのは、「徳川と争っても勝てない」と輝元に納得させてしまった家康の老獪すぎる外交手腕による勝利といったところでしょうか。それでも関ヶ原において実戦が行われたのは、武将として戦で明確にカタをつけることが望まれたからなのでしょう。
三成を佐和山城に隠居させた決定を下したのが家康とする(らしい)ドラマの設定は、三成と家康の間を揺れ動いた毛利輝元の二転三転する姿勢をわかりやすく見せるためなのかもしれません。となれば、土壇場で三成を裏切る輝元がドラマティックに描かれることでしょう。吹越満さん(輝元)と中村七之助さん(三成)の迫真の演技合戦が見られることを今から期待してしまっている筆者でした。
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