家族の女性陣からの愛のムチのような言葉に加え、数正は秀吉のもとで飼い殺しにされているだけだと知った家康は、出奔した数正の真意をようやく悟って改心し、自らが「天下人」になる道は捨て、「関白(秀吉)を操り、この世を浄土とする」という新しい目標を掲げて上洛を決意する……という展開でした。

 本心を巧みに隠しながら、秀吉には上辺だけ従う「狸親父」ぶりが加速するのではないかと見る向きもあるようです。筆者には、志半ばで亡くなった瀬名姫の無念を、自身が「天下人」となることで晴らすべく、本来の弱く優しい自分を押し殺し、強くたくましい武将となるべく頑張ってきた家康が、まるでつきものが落ちたかのように、素直さを取り戻すような気もしていますが、どうなるでしょうか。

 今後が気になる『どうする家康』ですが、9月10日はラグビーワールドカップの中継により放送休止で、次回は17日放送となります。ということで、今回はこれまでの放送を振り返り、ドラマにはなぜか登場しなかった重要人物たちについてお話してみようと思います。

 個人的にもっとも気になっていたのが、黒田官兵衛(黒田孝高)がこれまで出てきていないということです。