令和の居酒屋で1人で酒を飲んでいるオガワ。隣席では、会社員の男女がハラスメントについて話をしている。「こういう時代だから」とか何とか、そういう話題だ。

 タブレットでの注文がうまくいかなくてイラついているオガワは、その話題に割り込んでいく。「どういう時代?」。すごく厚かましい態度だ。

 さっきのビールを奪われた女性も、ここでの会社員の女性も、オガワへの対応がすごく変なのだ。すごくまともに相手をしている。オガワのやっていることはバスの中でタバコをすってクダを巻いていたときと何も変わっておらず(というか、ここに一貫性があるからドラマになるわけで)、にもかかわらず、すごくまともに対応している。バスのときと同様、ドン引きして「ナイフ持ってるかも」くらい怖がるほうがずっと自然なのに。

 オガワは令和のバスの中では明らかに異物だった。だが、同じ令和の喫茶店と居酒屋では、オガワはたやすく受け入れられている。話を聞くべき人物として扱われている。