少子高齢化が進む中、親の介護問題は切実です。いざ介護が必要となったら……と不安に感じている人もいるでしょう。

介護をスムーズに行うためには、介護における助成金制度について知っておくことが大切です。介護保険で受けられるものや、民間で受けられる介護サービスなど、意外と知られていない助成金制度が存在します。ここでは知っておくと役立つ介護の助成金制度について紹介します。

雇用保険加入者が利用できる「介護休業給付」

(写真=PIXTA)

家族を介護するために仕事を休むとその期間、基本的に給料は支払われません。介護にも自身の生活維持にもお金がかかる一方で、収入がストップしてしまうのは大きな問題でしょう。

このような状況を回避するために制定されたのが、介護休業給付です。

この介護休業給付金は、職場復帰することを前提に家族を介護するために休業した際に支給されます。

対象者の条件には、

  • 65歳未満の雇用保険加入者
  • 申請の時点で12ヵ月以上にわたって継続して雇用されていること
  • 介護休業開始予定日から起算して、9ヵ月を経過する日まで雇用契約がなくならないこと などが挙げられます。

    以前までは給付金の支払い額は賃金の40%ほどでしたが、2016年に67%にまで改正され、より魅力的な制度となりました。

    計算方法は「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」。例えば賃金が月額30万円の場合、支給額は月額20万円ほど。

    介護を理由に離職してしまう人も少なくありませんが、この制度を受ける選択肢も検討してみるべきといえるでしょう。

    要介護や要支援認定で利用できる「住宅改修給付」

(写真=VIREN DESAI/Shutterstock.com)

自宅で介護する場合、自宅のバリアフリー改修を検討する人もいるでしょう。そんなときに役立つのが住宅改修給付です。

65歳以上で日常生活が困難となった家族がいる人が対象で、各自治体の条件を満たすと、手すりの取り付けや段差の解消、洋式便器への取替えなどに関する改修費用を負担してもらえます。

支給額は、多い自治体で改修費用の80~90%ほどを負担してくれるところも。上限金額は20万円ほどのところが多いようです。

この制度を利用することで、親の在宅生活の自立を支援しやすくなるかもしれません。

各自治体による「見守りサービス制度」

(写真=Photographee.eu/Shutterstock.com)

親が1人で暮らしている場合、同居しているけれど仕事に行かなければいけない場合など、高齢の親を残して家を空けなければいけないことがある人もいます。そのようなときに便利なのが、各自治体が行っている見守りサービスです。

例えば、広島県呉市のケースでは、GPS端末機の利用をする場合、購入費用の3/4(上限2万円)までを負担してくれる制度を、愛知県豊田市でも最大2万2千円まで補助してくれる助成制度を設けています。

これらの制度を活用することによって、徘徊して居場所が分からなくなるといったことを防ぐことができるかもしれません。

各自治体が行っているめずらしいサービス制度

(写真=PIXTA)

このほかにも各自治体が行っているめずらしいサービス制度が存在します。

紙おむつ給付およびおむつ代の助成

おむつを必要とする高齢の家族がいる場合に、紙おむつの現物支給が受けられる制度。市区町村によって内容は異なりますが、入院している場合などは現物ではなく費用を助成してくれるケースもあるようです。

家族介護慰労金支給制度

寝たきりの人や認知症の高齢者を在宅ケアしている家族に対して、市区町村から慰労金を支給される制度です。支給額は各市区町村によりますが、1年あたり10万円前後に設定しているところが多いようです。

高齢者向け配食サービス

1人暮らしの高齢者や高齢者世帯が対象で、高齢者向けの食事を自宅に配達してくれるサービス制度です。ご飯を作る手間なく、栄養バランスのよい食事をとることができ、安否確認も同時に行えるため人気が高まっています。

助成制度を賢く利用して介護の負担軽減を目指そう

ここで紹介したもの以外にも、介護における助成制度はさまざまなものが存在します。このような制度を理解しておくことで、いざというときも慌てずに済むかもしれません。また、介護が必要となった場合も助成制度を賢く利用して、負担軽減に繋げられるとよいですね。

文・万代未希(ファイナンシャル・プランナー)

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