「このキャラクターの映画化はどう? って提案していただいたのが、この唐獅子仮面。先生の手によるキャラクターデザインの原画が送られてきたんです。最近は先生もオリジナルのニューキャラクターを描かれていなかったので、周囲も『おおっ!』となりまして。これは映画化するしかないでしょう、ということになりました」

 自分の手で『デビルマン』が実写化できたら、その日に死んでもいい。そう語るほどの永井豪フリークである光武にとって、それは至福の日々の始まりになるはずだった。

 そんな折、新型コロナウイルスが世界中に影を落とす。

「プロットの段階では、永井先生とは非常に素敵なキャッチボールができました。50年近くもトップランナーの先生ですので、具体的にいろいろな作品の名前を出して提案していただいたり、そういう意味ではストレスフリーでしたね。ひとりで創作するよりも楽しい、憧れの先生とのコラボでしたし、スムーズに進んでいたんです。プロットにOKが出て脚本を書くぞ、とエンジンをかけた瞬間にコロナ禍になってしまって。僕はLAにいたので、法的なロックダウンだから日没以降は絶対外出禁止。もう対面で人に会える世の中が戻ってこないんじゃないかという恐怖もあったし、この映画もおそらく中止になるだろうと思って、鬱になりかけていたんです」

 ところが、制作の東映ビデオはこの企画の続行を決断する。コロナ禍のLAで、光武はいつ撮影を始められるとも知れない脚本を磨くことになる。