取材前に手元に届いた資料には、こう書かれていた。
「『デビルマン』『マジンガーZ』の巨匠・永井豪が極秘に描き下ろした、完全オリジナル漫画を完全実写化!」
なんだかよくわからないが、とにかくあまり期待していなかった。2004年に公開された『デビルマン』の実写化作品についてあまり多くを語りたくはないが、20年がたった今でも思い出すたびに口の中に苦いものが広がる感触がある。でもまあ、仕事ですし、一丁見てやりますか、そんな気分で『唐獅子仮面』という作品を見始めることになった。
ものの10分、これはヤバいかもしれないと感じ始める。ヤバい、適当に流し見する類の映画ではない。要するに、これは片っ端からクソ面白いのだ。一旦、再生を停止し、紅茶を淹れ、姿勢を正して最初から見直す。正味121分、あっという間の幸福な映画体験だった。
インタビュー冒頭、その体験をそのまま光武蔵人監督に伝えた。「期待していなかった」とも、正直に言った。
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