「日本語吹き替え版を演出してくださったサイトウユウ監督が、まさに同じことをおっしゃってくれて。10分くらいたった後から、これはちょっとちゃんと見なきゃ、ちゃんとしなきゃと思ったと言ってくれていて」

 優れた作品は労働意欲を猛烈に刺激する。こんな体験は久しぶりだった。

 始まりは、『キューティーハニーUSA』なる企画だったのだという。米国に拠点を置く光武は、永井豪の世界観そのままにバイオレンスとヌーディティをふんだんに盛り込んだキューティーハニーを再現すべく、全キャストをアメリカ人、全編アメリカロケでの逆輸入を目論んでいた。

「でも、ちょうどそのころ舞台版キューティーハニーの企画が進行していたんです。女性向けのキラキラした形の舞台バージョンで、このタイミングでキューティーハニーを血まみれにすることはできないんだよね、というのが永井先生の回答でした」

 それで企画は立ち消え、費やした労力も水泡に帰すのがこの業界では日常茶飯事。だが、巨匠から存外な提案があった。