離婚後、親権を変更するための手続き

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ただ、親権者の変更は子どもの福祉に重大な影響を与えるものですから、当事者同士で勝手に決めることはできません。家庭裁判所に親権を持ちたい親が「親権者変更調停」を申し立てなければなりません。

申し立てを受けた家庭裁判所は、子どもの福祉を第一に考え、親権の変更が妥当かを調査します。もちろん調停ですから、双方の親から事情などを聞いて、最終的な判断を行うことになります。

なお、子どもが10歳を超えるような場合には、子どもの意見を聞く機会が多くなっています。つまり、子どもの生育環境としては適切ではなく、子どもの母親と暮らすことを強く希望している場合には、親権は変更される可能性は高いと言えます。

父親が応じない場合には?

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母親と父親が話し合いを行った結果、どうしても父親が親権の変更に応じない場合には、家庭裁判所に「親権変更調停」を申し立てることになります。

先ほどご説明した例、父親も母親の親権の変更に合意している場合と比べて、変更が認められるハードルはグッと高くなります。本当に親権の変更を認めることが妥当なのかを申し立てた(母親)側が客観的な証拠を示す必要があるからです。

例えば、父親が海外出張になった場合でも、1年程度で日本に戻ってくることが確実であれば、父親に親権を残したままで、その間は母親と同居するという提案が家庭裁判所からあるかもしれません。

再三申し上げているように、親権は継続性を重視する側面があるため、よほどの理由がない限り、家庭裁判所は変更を認めようとしません。

もちろん、親権者である父親が育児放棄している、行方不明になっているなどの事情があれば、子どもの福祉、生育環境を考えて、母親への親権の変更が行われることになります。

10歳を超えると子どもの意見も重要

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なお、子どもが10歳を超えるような場合には、子どもの意見を聞く機会が多くなっています。つまり、子どもの生育環境としては適切ではなく、子どもが母親と暮らすことを強く希望している場合には、親権は変更される可能性は高いと言えます。

いずれにしても、少しでも親権を変更する必要性を感じたら、すぐに専門の弁護士に相談をして、適切な対処を行うことが大切です。

文・井上通夫(行政書士・行政書士井上法務事務所代表)

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