海外留学は英語などの外国語を学ぶ目的以外にも、学生だからこそ経験しておいたほうがいい理由があります。新型コロナウイルスの流行に伴い海外留学の実施は、現状模索されている状況ではありますが、自宅にいることが多い今のうちに、落ち着いて留学の選択について考えてみませんか。ここでは大学生が留学すべき4つの理由を紹介します。
大学生の留学・過去と現在
官民協働の留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」サイトに掲載された留学に関するデータを見ると、短期留学・語学留学、海外インターンシップなどを含めた大学生の留学者数は2009年に3万6,302件であったのに対し、2018年は11万5,146件でした。
3倍以上も大幅に件数が増えた背景には、社会のグローバル化を学生自身が体感し、将来に備えて留学を決断している現実もあるでしょう。
さらに留学が組み込まれた大学のカリキュラムや、各種留学プログラムが充実してきたこと、奨学金制度が充実してきた点も学生の背中を押しているようです。
大学生が留学すべき4つの理由
社会に出てからも留学は可能です。お金と時間の都合がつけば進路のことを気にせず、留学に取り組めると考える人もいるでしょう。一方で、大学生だからこそ留学すべき理由もあります。
1. 視野を拡げられる
留学中はさまざまな国籍の人と出会い、その国のルールやマナーを身につけていくこととなるでしょう。
出会う人たちの国の文化や価値観などに直接触れ体感することは、日本の中にいてはなかなか実現できない貴重な機会であり、これらは自分の考え方を見直すきっかけにもつながります。
グローバル化が進む中で英語などの語学習得ばかりが重視されていますが、それと同じくらい幅広い視野を持つこと、日本とは異なる環境や考え方を心得ていることはとても重要でしょう。
とくに若いうちの留学だからこそ、新しい感覚や価値観を柔軟に身につけることができるはずです。
2. 企業が求める人材の変化
日本の雇用制度は長らく「終身雇用」がベースで年功序列の賃金体系でしたが、それらは崩壊しつつあり実力主義が台頭すると言われています。実力主義とはスキルだけに留まらず、「時代にあわせた思考」や「国際感覚」を指しているとも考えられるでしょう。
国内のビジネスだけでは著しい成長を期待することが難しい時代に、企業はグローバルな視点を持つ学生を求めています。
また大学時代に自分なりのテーマをもって留学した経験は、就職活動においてもアピールポイントになるでしょう。だからこそ漠然と留学するのではなく、目的意識をもって挑戦することも重要です。
3. 挑戦する力と自己肯定感の習得
多くの学生にとって、留学は簡単な選択ではないでしょう。時間や経済面はもちろん、これまで生きてきた「枠」の外、いわゆる“アウェー”な環境へ飛び出すという選択は、軽い気持ちで決められることではありません。
留学を決め海外生活をスタートしたあとも、日々の生活の中で何度も自分の力を試すこととなります。苦労や葛藤も多くあるでしょうが、だからこそ留学経験は生涯において自分への自信につながり、それはやがて自己成長、自己肯定感へと結びつきます。
実際に前出の「トビタテ!留学JAPAN」による派遣留学生へのアンケートによれば、「留学によってどのような力がつきましたか?」という問い(複数回答可)において、「挑戦する力」と答えた人が80%(1位)でした。
4. 多様性(ダイバーシティ)の受容を養う
ダイバーシティとは、「お互いの違いを受け入れ、思いやり、その違いに価値を見出し、誰もが日々自分らしく生きられること、異なる能力がかけ合わさって社会はより良くなる」という思想です。
世界にはさまざまな考え方や価値観が存在します。それは時に宗教や人種、性別の違いにおいて大きな争いを生むこともあるでしょう。
前述の通り留学では、日本と異なる価値観や視点があることを知る機会を得ることができます。さらに外から日本を見つめることで、日本や日本人をより深く理解することにもつながるのです。これまでとは異なる環境に身をおくことで、自然と多様性を受容する力が身に付くでしょう。