◆フェムケアの話は“タブー視”されていた
――営業をしていた頃、日本ではデリケートゾーンケアアイテムに対してどのような反応が見られましたか?
田中:営業担当の話によると、営業当初の2019年はバイヤーの方から「最近メディアで話題になっているけど、実際に売れるかどうかはわからない」「生理用品の横の棚15cmだけなら置いてもいいよ」と言われたこともあったそうです。
ただ、日本では生理が「恥ずかしいもの」「隠すべきもの」と考える人が多いので、生理用品コーナーと一緒にデリケートゾーンケアアイテムもお店の奥に追いやられてしまいます。目につかない位置にしか置いてもらえなければ売れないので、大きな広告を打つ代わりに、たとえば「2週間だけでも人目のつく棚に置かせてもらいたい」と提案することもありました。
――デリケートゾーンケアがタブー視されていたのでしょうか?
田中:そうですね。当時は今よりも性の話が表で語られることが少なかったので、デリケートゾーンケアについてもあまり公にされてきませんでした。当時の営業担当とバイヤーの方は男性だったので、当事者不在で女性のデリケートゾーンケアについて話す状況があり、お互いに直接的な言葉は避けていたようです。
女性に寄り添うというより、売れるかどうかで店頭に置くかが判断されていたので、ほとんどのバイヤーが男性である状況で営業するのは難しかったです。一方で、ドラッグストアなどの店舗に行くと女性スタッフさんに営業をする機会もあり、関心をもってもらえることもありました。なので、全国の店舗に足を運んで営業することは多くありました。
――最近では少しずつですが、女性の身体や性の悩みについてオープンに語られるようになってきてますよね。
田中:2021年の新語・流行語大賞では、「フェムテック」という言葉がノミネートされました。少しずつメディアも性の話題を取り上げるようになったので、ここ数年は男性バイヤーの方たちも話を聞いてくださることが増えました。逆にこの2年で競合商品が増えていて、商品をどう差別化するかが求められています。