上記の質問には井ノ原も「僕も、こういう立場になって、これはなんでこうなんだろうって疑問に思うことが結構あったんですよ。『なんでこうなの?』って聞くと、『昔、ジャニーさんがこういったから。メリーさんがいったから』と、きちんと守ってきたちょっと昔のタイプのスタッフがいたってことも事実です。『なんで? それ、変えようよ』っていうのは毎日いっています。『忖度なくします』っていっても急になくなるものじゃないと思うんですよ。だからそれを一つひとつやっていくっていうのが。忖度って日本に蔓延っているから、これを無くすのは本当に大変だと思います。みなさんの問題でも、一緒に考えていく問題でもあると思いますから、その辺はご協力いただいたほうがいいと思います」と、話した。

 本人が経営に入るまでそれらの事実を知らなかったというのは、中年経営陣の発言としては若干白々しい気もするが、もしほんとうならば、事務所がテレビ局などと作り上げてきた独特なスタンダードや得体の知れない独裁的パワーがいかにタレントたちにとっては、当たり前のものだったのかもわかる。

 ジャニーズのビジネスに乗っかってきたメディアは、お気持ちを表明するだけでなく、自分たちとジャニーズとの間でどのような忖度があったのか、些細なことでもすべて詳らかにしていくべきだろう。

 人権尊重方針に従いアサヒグループホールディングスなどはジャニーズの所属タレントを起用するCMに、見直しの動きが広がったことが9月8日にわかった。また、自身のインスタグラムにジャニー氏の信条である「Show must go on!」とだけつぶやいた木村拓哉が批判にさらされ、当該記事を削除するに至っている。

 日本の芸能界の中で、なんでもありだったジャニーズの行方――それは多くのメディア人も「これからどうなるのか」と見守っている。