◆王者ギャロップの勝因はボケとツッコミのポジション変えにあり

――優勝したギャロップ、100個のカツラをもし作ったら…という1本目、ほんとに強いネタですね。

左:林健 右:毛利大亮(画像:THE SECOND公式サイトより)
左:林健 右:毛利大亮(画像:THE SECOND公式サイトより)
<1本目のカツラのネタが本当に面白かったですね。

ギャロップの2人は「M-1グランプリ2018」で決勝進出を果たしています。そのときのネタは「20歳のモデル同士の合コンに毛利さんが行けなくなったから、林さんに代わりに行くようにお願いするが、『ハゲた40歳がそんなところに行きたくない』」というものでした。もちろん、M-1の決勝ですからそれも十分面白いものでしたが、審査員の上沼恵美子さんからは「自虐はよくない」といった趣旨の、厳しいダメ出しがありました。

今回は完全にそれを修正してきた印象を受けました。テーマがカツラなので、ハゲを生かしたネタではあるのですが、「毛利さんが林さんにカツラを薦めるが、その提案内容がおかしい」というもので、自虐ではありませんでした。

そして、ツカミは林さんが客席を見渡して「みんな(髪が)生え過ぎちゃう?」とボケるのですが、本題に入っていくと、林さんは雰囲気そのままに、いつのまにかツッコミに回っているのです。

毛利さんの提案は「毛量の違うカツラを何個か作って、いいタイミングで被っていくっていうのはどうかな?」といったもので、決してボケとしてはダイナミックなものではありません。日常会話でありそうな印象を受けます。そこに林さんが理詰めで返すことが結果としてツッコミになっています。油断して見ていると、どうしても林さんがボケのように感じてしまいますが、決してそうではなかったのです。>

――たしかに最初のキャラクターのイメージがどんどん更新されていきました。

<2本目では林さんがボケ、毛利さんがツッコミでスタートし、途中からボケでもツッコミでもなく電車のあるあるネタで進め、毛利さんの「おじいさん、どうぞ!」の突然の大きな声に林さんがツッコむなど、フレキシブルにポジションを変えていきます。

3本目は、林さんがボケ、毛利さんがツッコミで駆け抜けていきました。

3本、違和感を抱かせることなくボケとツッコミのポジションを変えていくのは本当に凄いことです。ここに、ギャロップが勝ち抜いた勝因があるのではないでしょうか?

「M-1グランプリ2022」で優勝したウエストランドも、今までのウエストランドとは違って、河本さんがボケ、井口さんがツッコミに変わっていました。芸歴を重ねてきて、ボケとツッコミの境界線が曖昧になっていったり、フレキシブルにチェンジするようになったりしてくると、ひとつ、いいものが生まれるのかもしれません。>

<文/女子SPA!編集部>

【女子SPA!編集部】

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