コールセンターで働き始めたソヒは、顧客たちからの苦情に電話対応し、しかも解約を踏み止まらせなくてはならない。さらに、他のオペレーターたちと激しく成績を競わせられる。高校生でありながら、ソヒは現実社会の暗部を否応なく見せつけられる。

ジュリ「前作『私の少女』のペ・ドゥナさんとキム・セロンさんも孤独を抱える女性役でしたが、今回のキム・シウンさんも似たような状況です。コールセンターでは多くのスタッフが一緒に働いていましたが、パーテーションで仕切られた空間にいるソヒは群れの中で孤立したように感じていたんです。死ぬことでしか孤独から逃れられないと、彼女は悩んだのでしょう。社会に絶望し、生きる気力を失ってしまった18歳の少女が現実にいたことに、とても胸が痛みました」

 前半パートは記事資料に基づき、実際の事件がかなり忠実に再現されている。

ジュリ「コールセンターは多彩な仕事に対応し、業務形態もさまざまで、いろんな職場があると思います。でも、私が資料を読んで知った職場は“よくない仕事”をオペレーターたちに命じていました。解約したいと電話してきた顧客をたらい回しにして、諦めさせていたんです。実習生として働き始めたソヒはそうした“よくない仕事”を強要され、拒むことができませんでした。映画の中では『28回も電話をしている』という苦情が電話口で語られますが、私が読んだ資料では『72回も電話させられた』というケースがありました。企業側が組織的に“よくない仕事”をさせていたんです。これは資本主義システムの負の一面かもしれません。どんな手段を使っても、お金儲けさえできればいいんだと。そして、負のシステムの中にソヒたちを縛り付けていたんです」