◆赤楚君の“一番星感”

 そんなふたりを見ていて、ひとつだけもどかしくなることがあった。それは、あくまで幼なじみである舞と貴司が、それ以上の関係性になるのか、どうかということだ。ふたりとも超ピュアな性格だから、間違っても俗物的な恋愛関係にはならないから安心ではある。

 それでもこのふたりの関係性が、幼なじみ以上に発展したらいいのになと、だんだん思いたくなる。確かにパイロットを目指していた頃の舞は、航空学校で同期の柏木弘明(目黒蓮)とはからずも一時は恋人関係になったことがある(めめの爽やかさにはズキュンでしたね)。でも貴司との結びつきにはどうしても及ばない気がした。

 大学のサークルで人力飛行機を操縦した舞が、パイロットになる夢を抱いたのが、第5週29回のことだった。町はすっかりクリスマスシーズン。勉強の手をとめた舞が窓の外を見る。隣家との距離がほとんどなく、空を見上げても屋根が重なってほんの隙間からしか夜空が見えない。向かいの窓が開いて、貴司がひょっこり顔を出す。夜空はよく見えないが、舞にとっては、ちょうど目線の位置で目の前にいる貴司の顔が一番星のように映る。

 優しげな微笑みを浮かべ、暗い部屋の中へ戻っていく赤楚君の“一番星感”がいいなと思った。この場面が、早くも恋人たちを予感する伏線になっていたんだからなぁ(としみじみ)。