GENERATIONSのメンバーが本人役で出演する意味
GENERATIONSのメンバーが本人役で出演するコンセプトにも、確かな意味がある。彼らは煌びやかなステージで、華やかな歌と踊りを披露する立場だ。対して、カセットテープに遺された声の主である少女の過去に隠された“夢と希望”は、そのようにパフォーマーとして成功しているGENERATIONSたちとの、残酷なまでの対比にもなっていた。
実際に清水崇監督は、こうコメントをしている。「音楽業界で“夢と希望”を振りまき与えてきた彼らが、逆にその“夢と希望”よって振り回され、空回りし始めたら……と考え、過去の死した“夢と希望”の遺産《カセットテープ》を手にし、聴いたことから始めることにした」と。その構図には、GENERATIONSたちに憧れを抱くと同時に、うらやましく思う、いや少なからず嫉妬をも抱いている一部の観客の気持ちも、確実に投影されているのだ。
そして、GENERATIONSのメンバーが恐怖に慄く演技が抜群に上手く、それぞれの表情さえも怖い場面すらあった。加えて美術・撮影・編集も申し分がなく、キャストとスタッフが一丸となり、本気で怖いホラー映画をしっかりと作り上げたことを心から称賛したい。本作のために書き下ろされた「ミンナノウタ」も、少女の哀しさと“それだけでない”感情を表現した、しかもGENERATIONSらしいスタイリッシュさも発揮された、秀逸な主題歌だったと思う。
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