“音”と“声”による恐ろしさと、「清水崇監督史上最恐」を更新した“家の中”の恐怖

 あらすじはこうだ。ラジオ番組のパーソナリティを務める小森隼は、倉庫で「ミンナノウタ」と書かれた古いカセットテープを発見し、収録中に不気味なノイズと少女の声を聞き、さらには行方不明となってしまう。元刑事の探偵は、GENERATIONSのメンバーたちに話を聞き、事態を解明しようするのだが……。

 本作の恐怖で重要となるのは“音”と“声”だ。今では若い人は存在自体を知らないかもしれないカセットテープに残された音は、ノイズが多く内容が不可解だからこそ恐怖を呼ぶし、それ以外の場面でも突発的に聞こえる声がとてつもなく恐ろしい。間違いなく、他に雑音が入らない、閉ざされた空間である劇場で観てこそ、真の恐怖を感じられる内容だろう。

 もちろん、ビジュアル面での恐ろしさも存分に感じられる。恐怖のシチュエーションそれぞれで「何が起こっているのか」がすぐにはわからないし、やはり不可解だからこその(少し笑ってもしまう)恐怖があるし、その後には“二段構え”とも言うべきさらなる仕掛けも用意されていたりするのだから。

 そして、恐怖が極に達するのは、“玄関”のシーンだ。もちろん、何が具体的に起こるかは秘密にしておくが、間違いなく「清水崇監督史上最恐」を更新していた。ここでもカセットテープのとある特徴が生かされていたのも秀逸であるし、『呪怨』シリーズでもおなじみの“家の中”の恐怖が劇的な進化を遂げたという感動すらあった。