──なるほど。「結婚する予定は?」と聞いてきたお姉さんも、自分がその質問をされて傷つかないから、相手も傷つかないと思ったのかもしれない。

イ・ラン:そうなのかも。それでね、そのお姉さんがきっかけで、練習中にある事件が起きたんです。

 その時は、お姉さんがコーチを相手に打ち合いをしていて、それをほかの参加者がコートの外から見ていたんです。コーチはラリー中によくギャグを言う人なんですけど、その時もお姉さんのシャトルを打ち返しながら面白いことを言って、みんなが笑っていました。

 途中、コーチが場を盛り上げるために「手首にもっと力を入れてください! あなたには手首がないんですか!」とジョークを言った時です。お姉さんが「手首、ないです!」と答えたことに、周りの人が笑い声を上げた瞬間、すごく怒った様子のお姉さんが「何が面白いんですか!」と大声を出したんですよ。普段はおとなしい人だし、自分もコートの外にいる時はコーチのジョークで笑ったりしていたから、みんな、なんでそんなに怒っているのかわからなくて、シーンとなってしまって。お姉さんは「もう辞めます!」と荷物をまとめて、出ていってしまいました。

──そのやり取りで傷つくところがあったのかも。

イ・ラン:怒った理由って、お姉さんの人生に絶対何かしら関係があったと思うんですよ。私、昨日からずっとそのお姉さんの人生についてめちゃくちゃ考えてしまって。明日、その事件があってから初めての授業があるんですけど、本当にあのお姉さんに来てほしい。来なかったら、もう彼女と会話をすることができなくなってしまうので、困ります。