車に乗って、見えること

──前回(2021年8月)この連載でお話をしたときは、ちょうどランさんが自動車免許の教習所に通っている時期でしたよね。「実技試験に落ち続けていて、本当にうんざり」とおっしゃっていましたが、その挑戦はどうなりましたか。

イ・ラン:あのあと、無事に試験に合格して、今は運転免許を持っているんで、車で仕事に行けるようになりました! めちゃめちゃ運転しています。

──ランさんが車の免許を取得しようと思った理由について、ご知人の「女は車を運転してるときに自由になる」という言葉が気になったから、とお話されていました。車を運転すると道路の上に自分だけの空間ができるからこそ、女性に抑圧的な社会から開放されるものがあるのではないか、と。

 一方で「ドライバーが女性だとわかると喧嘩をふっかけてきたり、無視したりする人も多いみたいなので、やはり完全な自由はない」ともおっしゃっていましたね。

イ・ラン:そうそう。私、今お姉さんからもらった車に乗っているんですけど、それを運転していて気づくことも多いです。

──お姉さんの車を相続されたんですね(2021年、イ・ランの実姉イ・スルさんが逝去。翌22年、イ・ランは彼女に捧げる曲「生きることと眠ることとお姉ちゃんと私(PRIDE)」を発表した)

イ・ラン:そうです。「生きることと眠ることとお姉ちゃんと私(PRIDE)」の中に「大きな車に乗って」という歌詞がありますけど、私がもらったのはその「大きな車」じゃなくて、別のちっちゃい車なんですが。