──金銭的にはとても助かりそうですよね。
イ・ラン:その代わり、つらいところもある仕事です。見に来ている人に私の音楽を紹介するというよりも、ただその場の雰囲気を盛り上げるためだけに音楽を道具として使うことが求められるから。前に、どこかの会社で会長をやっている人の誕生日のパーティーに呼ばれたときは、自分の曲の演奏中に「そんな誰も知らない曲じゃなくて、皆が知ってるクリスマスキャロルを歌え」と言われたことがありました。
もちろん、私に歌ってほしいと呼んでくれて、集まった人がちゃんとリスペクトしながら聴いてくれるような現場もありますけど……そうじゃない場合がほとんどですね。
──それでも「ヘンサ」に行かなきゃいけないときもあるわけですね。
イ・ラン:そうです、超行きます。昨日も行ってきましたよ。お金のために。
でも、自分がどんな人なのか誰も気にしていない人たちのために歌うのは、ストレスが溜まります。だから「ヘンサ」のとき、ソウル(魂)は家に残して行きます(笑)。ソウル(魂)の仕事って、なんでお金になるものが少ないんだろう。
──最近ではイベントも開催されるようになってきて「ヘンサ」の依頼も増えてきているからこそ、そういったジレンマを改めて認識したのかもしれませんね。
イ・ラン:はい。パンデミック後も挑戦ばかりですよ。
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