ブラジル中央銀行の外貨準備に占める人民元の割合は増加し、2022年末時点で5.37%となり、4.74%のユーロを抜いて米ドルに次ぐ2番目の地位を占めるようになった。

 中国の大手銀行の傘下にあるブラジルの銀行BOCOM BBMは3月、標準指定通貨(デフォルト通貨)として米ドルを使う代わりに、レアルと人民元を直接交換できる協定を中国と結んだ。

 インフレ率が100%を超えるアルゼンチンは4月、中国からの輸入品の決済を米ドルから人民元に切り替えると発表した。歴史的な干ばつなどの影響で農作物の輸出が激減し、外貨準備として積み立てている米ドルが圧倒的に不足し、外貨準備を取り崩さないために、中国からの輸入品の支払いを人民元ですることにした。さらに、IMF(国際通貨基金)への返済の一部についても人民元で支払う。

 電気自動車のバッテリーの原料であるリチウムの資源埋蔵量が世界トップのボリビアは、7月27日に政府が輸出入の決済手段として人民元を使用していることを明らかにした。5~7月の人民元での決済は対外貿易全体の10%ほどになっている。バナナなどの農作物や亜鉛、木材製品などの貿易について国営銀行が決済を実行したという。ボリビアもアルゼンチンと同様、外貨準備としての米ドル不足に悩まされており、人民元での支払いは外貨準備の温存という意味合いもある。