世界の基軸通貨「米ドル」の危機…対ロシア制裁が裏目、中国人民元の決済が急拡大の画像1

 世界の基軸通貨である米ドルの地位が危うくなっている。米国による経済制裁の中でロシアと貿易を続ける国の「米ドル離れ」が進んでいるほか、経済の混乱で途上国によるドルの調達が困難になっているからだ。決済手段としても外貨準備の手段としてもドルが減っている。代わりに利用が増えているのが中国人民元で、イデオロギーによる世界の分断が、基軸通貨の分断につながる可能性が出てきた。

「脱米ドル」の流れが、ことのほか加速しているのは南米だ。1月に就任したブラジルのルーラ大統領は「脱米ドル」の急先鋒で、ブラジル中央銀行に人民元の決済機関を設けることで中国当局と合意した。3月にはブラジル産大豆の主要輸出先である中国との貿易や投資について、米ドルを介さずに、地元通貨のレアルと人民元を交換することでも合意している。