ラテンアメリカでの中国の経済的な影響力は2000年以降急速に拡大した。この20年間で中国への経済的依存度は17倍に膨らんだ。ただ、人民元を決済に直接使う動きは、今年に入って急速に広がりを見せているものだ。通貨が浸透するということは、貿易量が増加するということよりも経済的なインパクトは大きい。中国のラテンアメリカへの経済進出は、新たな局面を迎えている。
アジアでも、動きが加速している。ロシアからの原油輸入を続けているインドで、複数の石油精製会社が、調達した原油の支払いを一部、人民元でしていることが7月、明らかになった。ロイター通信が報じた。米国などの制裁で面倒なことになることを恐れた銀行が、ドルでの支払いを拒否した場合の措置だという。
米ドルは長らく、世界の原油取引通貨になっているが、ウクライナ侵攻に対する米国の経済制裁でロシアがドルとユーロの決済ネットワークから締め出されたことで状況は一転した。中国の原油の輸入先はこれまでサウジアラビアがトップだったが、米国による経済制裁以降、ロシアが最大の輸入先となった。中国はロシアからのエネルギー輸入のほとんどを人民元で決済している。
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