厄介な中国、台湾の加盟申請問題
英国が新規加盟を果たしたことで、次は加盟申請をしている次の6カ国に関心が移る。中国、台湾、エクアドル、コスタリカ、ウルグアイ、そして5月に加盟申請してきたウクライナだ。
中国と台湾は2021年9月、それぞれ競い合うように加盟申請してきた。
TPP加盟への条件だけを見れば、先進的な自由主義市場経済国である台湾に大いに分がある。自国の関税を大幅に削減、または撤廃するだけでなく、サービスや投資市場の開放に強くコミットすることへの要求、知的財産権の保護、外国企業への保護に関する高い基準のルールも台湾ならばクリアできるだろう。
対照的に中国は、国有企業への不透明な補助金や、中国に進出する外国企業に対し技術移転を強要するなどの問題があり、TPP加盟のための基準をクリアしているとはとても言えない。
政治的に見れば、台湾が加盟のための条件をクリアして入ろうとしても、中国は全力で潰しにかかるだろう。
中国は2001年12月、世界貿易機関(WTO)に加盟した。加盟時、日本の3割だったGDPは21年までに日本の3倍になった。加えて世界経済全体で18%を超える規模となった。仮に中国がTPPに加盟すれば、参加国のGDPの合計が世界全体のGDPに占める割合は英国加盟後の15%から33%となる。
参加12カ国のGDPの合計より大きい中国一国のGDP。TPP加盟後は既存のルールを順守するというより、自らルールを作り変えるかもしれない。
オークランドの閣僚会議に日本から参加した後藤茂之経済再生担当相は「威圧的な対応や法令を順守していない国・地域は対象にしないことで合意している」と述べ、間接的な表現ながら中国の加盟に否定的な見方を示した。
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