英政府の試算によれば、10年後の年間経済効果はわずか18億ポンド(約3,243億円)で英国のGDPの0.08%にしか相当しないという。また、予算責任局(OBR)はブレグジットによって2016年からの15年間に英国のGDPが4%減少して、経済から約1,000億ポンドが消失すると試算する。

 16日付の英紙「ガーディアン」電子版によると、英国の野党、労働党の「影の外相」であるデイヴィッド・ラミー氏は6月、「(与党・保守党は)TPP加盟はブレグジットで失われた対欧州貿易の損失を補うことができると主張しているが、極めて『不誠実』だ」と述べた。英国は2022年、英国の総輸出額の42%に当たる3,400億ポンドの商品とサービスをEUに向け輸出している。

 英国にとり、TPP加盟がもたらす恩恵は限定的でブレグジットを穴埋めするには程遠いのかもしれない。日本はブレグジット後の英国とは、経済連携協定(EPA)を結んでいる。英国のTPP加盟によるメリットはたしかに特段ないのかもしれない。唯一、両国間のEPAで関税引き下げの対象となっていなかった精米の輸出拡大が期待されるが、全体から見ればさほどのプラス要因にはならない。

 それでも、議長国ニュージーランドのクリス・ヒプキンス首相が述べるよう、英国の新規加盟でルールに基づく貿易システムは強化され、その範囲もインド太平洋から大西洋にまで広がった。