コンビニの店頭で、炭酸水を多く見かけるようになりました。いまどきの炭酸水は、お酒を割るだけでなく、ミネラルウォーターのようにそのまま飲むスタイルも人気を集めています。無糖の商品が売れているのも特徴です。

トレンドは「強い刺激やキレ味」という炭酸水市場ですが、サントリーの新製品「サントリー 南アルプススパークリング」はアウトドア総合メーカー、スノーピークとのコラボ商品とのことです。

上場企業2社がなぜコラボ? どんなコラボ? 株式投資が好きな筆者が「いち女性投資家」の視点から、4月18日に開かれた記者発表会の様子をお届けします。

「同じ使命で結ばれたパートナー」

サントリー食品インターナショナル(サントリーホールディングス傘下の清涼飲料事業子会社)と、アウトドア総合メーカーのスノーピークは、扱う領域も異なりますし、株式の時価総額では1.67 兆円と204 億円(いいずれも2018年4月27日現在)と、規模でも大きな差があります。

一見、そこまで共通点がないように見える2社ですが「同じ使命で結ばれたパートナー」だといいます。キーワードは「人間性の回復」です。

「発端は、3年ほど前、サントリーのみなさんの前で『人間性の回復』をテーマにした講演をしたことです。でも今日に至った最大の理由は、両社の理念が非常に似ていることだと思っています」(スノーピーク 代表取締役社長 山井 太さん)

「違いはあるけれど、想いは同じです。動機は共有できている、だから何か始めましょうと。そこで私たちは『山の向こう』という共同プロジェクト発足に至りました」(サントリー食品インターナショナル執行役員ジャパン事業本部ブランド開発第一事業部長、沖中直人さん)
 

(写真=筆者撮影)

スノーピークのミッションは、自然に触れて、人間らしさを取り戻す時間をたくさんの人々に届けることです。「人生に、野遊びを。」をキャッチフレーズに、キャンプ事業だけではなく、アウトドアを取り入れた働き方改革や、住宅、地方創生などにも活動を広げています。

一方のサントリーは、高度成長期に、「人間らしくやりたいナ」というウイスキーの広告コピーを投げかけたことがあります。経済が急成長する中で、忘れられがちだけれど大切なものを思い出させた言葉として、反響を呼びました。

そんな両社の「同じ使命」から生まれた「山のむこう」。「南アルプススパークリング」シリーズは、その第1弾として共同開発したものです。

「追い込まれ社会」からの解放

手元に商品が配られました。「一斉に開封してください」というかけ声とともに、手元に配られた新製品のキャップを外すと「ポン!」という音があちこちから聞こえました。

あえて音が鳴るようにしたのは、さわやかな音で「スイッチを入れてほしい」からだそう。炭酸はかなり強めで、シュワっとした泡が口の中ではじけました。南アルプスの山並みが描かれたパッケージもさわやかです。
 

(写真=筆者撮影)

「この商品のターゲットは?」という記者からの質問に「みなさんのような方々です!」という回答があり、笑いを誘っていました。仕事や子育てで小さなストレスを抱え、そうかといって、お酒を飲むのもはばかられる人に、手にとってほしいとのこと。たしかに仕事が一区切りしたときに開封すると、リフレッシュできそうです。

「各社からいろいろな炭酸水が発売されています。でも我々の商品は、作った動機が違います。ストレスが日常的に続き、解消法がなかなか見つからない『追い込まれ社会』で、この商品を通じて、自分らしさを回復していただきたい」(沖中さん)

飲料業界で世界的なテーマになっている、飲料の砂糖含有量を減らす取り組みや、全く砂糖を含まない「非糖化」というトレンドをおさえていることも伺えました。