得意分野で「コラボ」する大切さ

(写真=筆者撮影)

スノーピークは「広告費をかけない」「ユーザーファースト」「欲しいと思うモノしか作らない」といった理念を掲げるユニークな企業です。新潟県三条市の、5万坪のキャンプフィールドの中に本社を構え、熱狂的なファンがいることでも知られています。

幅広いブランドとのコラボ実績も多く、昨年6月には京浜急行電鉄と、神奈川県横須賀市の観音崎にグランピング施設「スノーピーク グランピング京急観音崎」をオープン。つい最近は、着物専門店「きものやまと」とコラボした、アウトドアシーンで着られる「アウトドア キモノ(OUTDOOR KIMONO)」を発表。広告費をかけなくても、ユニークな取り組みでメディアに取り上げられています。
 

(写真=サントリー食品インターナショナル提供)

記者からは、「両社が資本提携するのか」といった「どこまでのコラボなのか」を確認する質問が相次ぎました。答えは「あくまでも『南アルプスの天然水』というブランドでのプロジェクト関係で、スノーピークに出資をするといったことはない」とのこと。

対等な関係でコラボする難しさ

発表で印象的だったのは、規模の違う両社があくまでも「対等な関係でコラボする」ということでした。

近年、企業同士の技術や経験を組み合わせて新たな価値を作り出す「オープンイノベーション」といった、企業同士の協業という言葉を聞く機会が増えています。新しいアイデアはあるけれど人手や資金力不足で手が回らないベンチャーと、資金や人材は潤沢なものの、発想が保守的になりがちな大企業が一緒にプロジェクトを行う、といったことです。

うまくいくこともある反面、例えばベンチャーが持つ技術を活かして一緒に何か作るというパターンでは、途中で目的が見えづらくなってしまうこともあるようです。

今回も含め、スノーピークは、同社のぶれずに尖った部分を他業種と上手にマッチングさせているように見えます。発表にもあったように、「異業種だけど、目指すものが同じ」という相手と組むことが、ポイントなのかもしれません。

また、大企業が新しいことに取り組むのは大変な面もあるでしょう。サントリーの創業者である鳥井信治郎氏の口癖は「やってみなはれ」。やってみなければわからない、という「やってみなはれ」精神は、大企業となった今も同社にも受け継がれているのではないでしょうか。

「山のむこう」は、次に、天然水の魅力を楽しめるキャンプ場を作るそうです。さらにスノーピークとサントリーだけではなく、同じ想いの企業や団体とも協力しながら色々なプロジェクトを手がけていきたいとのこと。2社の取り組みがどんなふうに広がっていくか、楽しみです。

文・阿部祐子/DAILY ANDS

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