KMの“プロデューサー・アルバム”で「言葉とMind組んだシーケンス」「跳ねる音楽俺と人生」と綴りビートとラップの融合を志向したうえで、「雨音」「水を切る石」といった〈水〉への言及を果たし、「過ぎる景色にリズム感じてる」という形で移ろいゆく風景をリズムへと換言していく表現が冴えわたっている。

 JJJが〈水〉のラッパーであるゆえんが、このラップに詰まっているのだ。

 であるならば、JJJが描写する〈水〉に対して、やはりHenny Kの〈水〉への感度はそれとは大きく異なるベクトルへと向いているだろう。彼女の独自の才能がより一層花開く、客演仕事に注目したい。

 水流のごとく移ろいゆく時間の経過も、彼女の手にかかればまったく違ったリアリズムへと転化される。Uka Death Audio「MAWARU」で、Henny Kは「クラブ回すモエやヘネシー/画面の向こうあいつジェラシー/受けておいでどっかでセラピー/Hennyに笑う勝利の女神/ぐーるぐる回ってる/忙しすぎて回ってる/ぐーるぐる回ってる/キミの秘密も回ってる」というヴァースを蹴り上げる。