もっとも有名なラム酒“バカルディ”を元に命名したカーディ・Bにならって大好きな“ヘネシー”をMCネームに使ったHenny Kは、その名の通り飲酒の快楽を歌うことで多くの客演に呼ばれ、いま国内ヒップホップシーンにおいて重要なポジションを築きつつある。

 けれども、Henny Kが興味深いのは、決して酒について歌う「だけ」のラッパーではないということだ。

 ゴーゴーダンサーの仕事をしていたという経歴もあり、セクシー系フィメールラッパーという紋切り型の認識が広まっているように感じるが、最新アルバム『“K”』からスマッシュヒットした曲が「カラカラ」であったように、Henny Kのリリックには酒の銘柄だけではなく、数々の“乾くこと”と(渇きを)“満たすこと”に関するモチーフがあふれている。