――同社の台頭は作家単位やシリーズごとに真面目に追いかけることが、可処分時間的にも敷居が高いと感じる人が多い時代なども反映しているのかもしれませんね。

タッキー:なのでA24って音楽レーベルに近いんですよ。「このレーベルのアーティストなら聴いてみよう」という感じで、知らない監督の作品でも「A24作品なら」と手を出しやすくなっている。

 ただ、これだけ作品数が増えてブランディングも高まってきたなか、配給と製作を区別したコピーが今後増えるのかなどは映画宣伝的に注目したいです。コンプラ的な意識変化もあるのか、『LAMB/ラム』(2021年)ではA24が「北米配給権を獲得」としっかり明記されていたので、受け取る側も“A24が贈る”の先にある作品情報に少し敏感になってもいい頃合いかもしれません。

(プロフィール)
ビニールタッキー
おもしろ映画宣伝ウォッチャー。映画ブログ『第9惑星ビニル』管理人。海外映画が日本公開される際に行われる不思議なPRイベント、へんてこな企業コラボなどの「おもしろ映画宣伝」を日夜観察し、毎年グランプリを決めるブログ記事「この映画宣伝がすごい!」を主催。