――確かに『エブエブ』もわりと見る人を選ぶ映画ではありますけどね……。
タッキー:それで言うとA24作品には批評家ウケが良い一方で、一般観客の評価が低い作品も多いことも特徴です。映画『The Humans』(2021年、日本未公開)は、批評家の支持率が92%と高い一方、オーディエンススコアは42%。『グリーンナイト』などの作品も同様の傾向が見られます。とくにA24の製作作品の場合、非常に尖った作品というイメージや認識は映画好きの間でけっこうあります。
――批評家ウケの良さや賞レースでの強さの要因はなんだと思いますか?
タッキー:一言で言うとインディーズ映画っぽさですよね。僕は日常のそこら辺にある話を映画にしてくれることがインディーズ映画のひとつの良さだと思うんですが、要するに作家性の強い作り手を連れてきてつくりたいようにつくらせるんです。そこが大きな魅力で、王道の映画づくりのセオリーに沿ってつくられていない。だからこそ結果的にハマらない人も出やすいということでもあるんですが。
――確かに話題のわりにイマイチに感じた作品や、観たはずなのに全然覚えていない作品も正直多いです。『Mid90s』とかは好きなんですけど。
タッキー:『Mid90s』は僕も好きな作品のひとつですが、あれもわりとニッチなカルチャーを題材に、俳優のジョナ・ヒルが半自伝的に撮った初監督作品で、大手の制作・配給会社が手を出しにくい系統の作品と言えるかなと。
ちなみに配信時代に逆行する話ですが、同社作品は意外と映画館で観るのがおすすめだったりします。家だとけっこう気合い入れて観ないと流し観しちゃって、頭に入ってこないってことがあるので……。
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