ロシアによるウクライナ侵攻前に完成していた映画
監督はドキュメンタリー映画で定評のあるオレシャ・モルグネツ=イサイェンコ氏。映画はロシアによる2022年2月24日のウクライナ侵攻前の2019~20年にかけて撮影された。
脚本家を務めたクセニア・ザスタフスカさんの祖母が第二次世界大戦中にポーランド人家族とユダヤ人家族をドイツ兵から守ったことがあり、ドイツ軍によるウクライナ民族主義者組織(OUN)の処刑シーンや、一番小さいユダヤ人の女の子が外に出てしまったと思ったポーランド人の女の子が外に出た途端にドイツ兵たちからユダヤ人と疑われて捕らえられ、出生証明書を見せるよう求められるシーンは実際の彼女の体験が基になっているという。
映画の舞台となったポーランド領スタニスワヴフの街は1944年10月までにソ連の占領下に入ると、1991年のソ連崩壊によるウクライナ独立までソ連領となる。
タイトルとなった「キャロル・オブ・ザ・ベル」。古くから歌い継がれてきたウクライナ民謡「シチェドリク」を1916年、ウクライナのバッハの異名を持つ作曲家のマイコラ・レオントーヴィッチュが編曲した。後にこのメロディーに英語の歌詞が付けられ、英語圏の中でも欠かせないクリスマス・ソングの一つとなる。日本でも大ヒットした米コメディ映画『ホーム・アローン』(1990年)の中でも歌われたので我々も知るところとなった。
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