1939年9月1日のドイツ軍のポーランド侵攻によって第二次世界大戦が始まる。3家族が住む街に最初に入ってきたのはドイツ軍ではなくソ連軍だった。侵攻直前の1939年8月23日に結ばれた独ソ不可侵条約でポーランドを分割し、西半分をソ連が占領することが決まっていたからだ。ソ連軍は軍人だったポーランド人の父親と母親を連行する。

 1941年6月22日にドイツが不可侵条約を破り、ソ連を侵攻すると今度はドイツ軍が街に入ってきて、ユダヤ人の両親が連れて行かれる。この間、ウクライナ人の母親は自分の娘と残されたポーランド人、ユダヤ人の娘を必死に守り抜く。

 1944年になるとソ連が盛り返し、スタニスワヴフを含む西ウクライナも同年10月までに再び、ソ連の占領下となる。ここで物語は筆者が望むハッピーエンドとはならず、今度はウクライナ人の親に新たな試練が降りかかる。

 占領者が変わる度に被害者が変わり、同じ家に住んでいた3家族は代わる代わる被害者となった。