それもそのはずで、今作の中でサマンタが魅せている演技は、それまでの印象を覆すものだった。常にふてくされたような表情が観客を驚かせたのだ。
今作においては誇張されすぎていて、少しやり過ぎなぐらいではあるが、それが逆にコミカルな部分を強調しており、コメディリリーフとして見事に活躍している。
セリフではなく、表情で細かい心情の変化を表現するという点では、同じくテルグ、タミル語映画で活躍する女優で、『グレート・インディアン・キッチン』のタミルリメイクで主演を務めた俳優アイシュワリヤー・ラジェシュにも通じる部分もある。だが、南インドのしかめっ面クイーンは、間違いなくサマンタである。
近年では、演技にもさらに磨きがかかり、日本のAmazonプライムでも配信されているインドドラマ『ファミリー・マン』シーズン2では、反政府組織のメンバーという難しい役どころを演じている。テロリストでありながら、悲しいバックボーンを感じさせる演技を見せているし、『ヤシャダ』(22)では傷だらけの顔でのアクションも印象的だった。
プリヤンカー・チョープラー主演ドラマ『シタデル』のインドサイドのスピンオフとして制作される『シタデル:インディア』で、サマンタは主要キャラクターに決定しており、南北をまたいだ今後の活躍が期待される俳優だ。
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