緊張した吉岡とモトーラのキスシーン

 主演は『見えない目撃者』(19)や『ハケンアニメ!』(22)での熱演が評価された吉岡里帆。同じ京都出身の千原監督とは、レディスインナーブランド「ウンナナクール」でコラボ済みだ。モデル出身のモトーラ世理奈は、千原監督がチーフディレクターを務めた深夜ドラマ『東京デザインが生まれる日』(テレビ東京系)に主演している。

千原「吉岡里帆さんとは、8年前からカレンダーの撮影などでご一緒しています。映画の出演をオファーしたのが4年前。2022年に撮影が始まるまで、ずいぶん心配させたようです(笑)。モトーラさん主演の『東京デザインが生まれる日』を撮った頃は、映画制作がすでに決まっていたので、映画のテスト的なこともできました。映画の撮影はすごく楽しかったです。唯一、緊張したのは、吉岡さんとモトーラさんとのキスシーン。ポスタービジュアルにもなった重要なシーンで、どんな距離感で、どんな色調にするのか、撮影ギリギリまで悩んでしまった。僕が緊張していた影響なのか、吉岡さんの首が小刻みに動くのですが、演技だとしたらすごいです」

 菜摘と共にアイスクリーム店で働く貴子には、「水曜日のカンパネラ」の2代目ボーカル・詩羽を起用している。

千原「詩羽さんがカンパネラに入る前から知り合いでした。当時から彼女は髪を赤く染めていて、吉岡さんとモトーラさんの間に彼女が入ると、デザイン的にいいなと思ったんです。最初は台詞も少しだけのつもりでしたが、貴子は菜摘と佐保の関係を唯一知るキャラクターでもあるので、脚本家の清水匡さんとも相談し『彼女にもアイデンティティを与えよう』となり、シーンが増えたんです。詩羽さんの出番が増えたことで、作品に奥行きが出たと思います」