──行かんでも美味いやろ、と。

サク:そんな感じで突っ張っていたんですけど、新型コロナ禍がやってきたじゃないですか。お店は歌舞伎町の真ん中ですし、売り上げもしっかり下がってきた段階だったので、時間もあるし、ペルーに行って文化とかエリアごとの食材や料理方法を学べたらと思って……飛んじゃいました。

──そもそも、どうしてペルー料理屋を始めようと思ったんですか?

サク:入り口は音楽でしたね。当時は六本木のミュージックバーに勤めていまして、そこのボスがサルサミュージック好きで。仕事が終わったら、よくクラブに連れて行ってもらっていたんです。

 男女ペアで踊る社交ダンスみたいな“サルサダンス”というジャンルがあるんですけど、六本木にはキューバ人、メキシコ人、アルゼンチン人などの南米系のかたが集まって、朝までずっと踊ってるクラブが結構あって。

 そこにいた人たちが「ペルー料理がうまいんだよ!」と言ってたんですね。でも、南米料理ってちょっと想像がつかないじゃないですか? さらにペルー料理なんてもっとですよね? そんなに言うならどんなもんかと思って、食べに行ったんですよ。初っ端だから、ちゃんとしたペルー料理を食べようと、新橋にあった荒井商店(現在は神奈川県湯河原へ移転し、8月にオープン予定)に行きまして。