◆「永山瑛太の代表作は?」と聞かれると回答に困る

もう一つ、彼の凄さに触れなくてはなりません。それは“作品に溶け込みながらも、たしかな存在感を発揮する力”です。

多種多様な役どころを演じてきた永山ですが、「彼の代表作は?」と聞かれると回答に困ります。キャリアが長いというだけではありません。主役であっても、脇役(助演)であっても、いずれも永山が放つ存在感が絶大すぎて、とても絞れないのです。

記憶に新しいのは、昨年話題になったドラマ『エルピス-希望、あるいは災い-』(フジテレビ系)。登場時間がごく短かったにも関わらず、強烈な印象を残して視聴者を戦慄(せんりつ)させました。

今秋に新作映画の公開を控えている『ミステリと言う勿れ』(同)のドラマ版で演じた犬童我路(いぬどう・がろ)役でも、原作とはひと味ちがう、永山にしか醸し出せない独特の雰囲気で異質なキャラクターを演じました。しかし、それが作品の世界観を損なったり、悪い意味の違和感を与えたりすることはありません。だから、視聴者は作品そのものを楽しむことができるのです。