一流のMBAしか価値はない?2割が「所得に変化なし」

企業が最も強く求めているのは依然として経験者やバカロレアだが、MBAがそれを追い越す日は来るのだろうか。

「MBAを重視する企業が減っている」という反対派の意見もある。南アフリカに拠点を置く国際的ヘッドハンティング会社Jack Hammer の責任者デビー・グッドマン氏は、多くの求職者がより高度な資格を取得しようとしているが、「一流の国際ビジネススクールのMBAでない限り、有利な要素はない」と述べている(Economist2016年6月13日付記事)。MBAプログラムを提供する経営大学が増えたほか、オンラインでもMBAを手軽に取得出来る近年、MBAの真の価値が問われている。米国では、MBA プログラムを提供する経営大学の数は1970年代の7倍に増えており、2010年以降は年間約20万人がビジネスの修士号を取得している。

選択肢が増えた分、価値が下がったということだろうか。「履歴書にMBA取得と書いただけでは、企業に好印象を与えることは出来ない」というのが、グッドマン氏の経験に基づく意見だが実施した調査では、MBA取得者の20%が「取得後も所得が変わらない」と回答している。

1カ月の短期集中コースでMBAと同等の効果?

米コンサルティング企業Xeric Corporation のマーク・シェッド社長は、自身もハーバード卒という高学歴にも関わらず、MBA取得者の雇用反対派のひとりだ。シェッド社長は「MBAを取得しているかいないかに惑わされるのではなく、求めている人材そのものに目を向けるべき」 と、近年のMBAという資格のみに価値を与える風潮を批判している。

MBA取得には通常2年を要するが、シェッド社長いわく「MBAで学ぶあらゆる知識を1カ月で直接教え込む方法があれば、MBA取得者は重宝されないのではないか」という。

またボストン・コンサルティング・グループを含む複数の大手コンサルティング企業がMBAを取得していない新人を雇い、短期集中ビジネスコースを提供した結果、MBA取得者と同じ、あるいはそれより高い水準の成果があったことを一例として挙げている(Productivity501より)。

MBAだけでは不足?企業が求める5つの能力

フィナンシャルタイムズ2017年8月31日付記事によると、企業はMBAの他に「幅広い層の人々と仕事が出来る能力」「時間の管理・優先順位付けが出来る能力」「デジタル化が事業に与える影響への理解力」「人間関係を築き、維持し、広げる能力」「複雑な問題を解決する能力」なども求めている。これからMBA取得を目指す人は、プラスアルファの能力を身に付けることも意識するとよいかもしれない。

文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター)/ZUU online

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