◆田中圭の首筋にがぶり?

 なるほど、現代に生きる吸血鬼は、時代に合わせて変化しているものか。居酒屋の食事場面で、こころはにんにくだけをよけるが、他の料理は普通に食べている。あれ、吸血鬼は人間の食べ物は食べないはず。

 ジム・ジャームッシュ監督による傑作吸血鬼映画『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』(2013年)では、汚染された現代人の血を吸えない吸血鬼の危機が描かれたが、どうも令和の吸血鬼はそこまで深刻ではないらしい。

 こころが実家に帰ると、ドラキュラマントをまとったいかにも吸血鬼伯爵っぽい父・闇原海造(吉田鋼太郎)がいて、ポテトチップスを食べている。このチップス、どうも赤色がおかしい。適度な血の補給がないと貧血になるようだが、食生活はそこまで人間と変わらない。

 海造からは永遠の若さなどの伝説もすべてネット上の噂にすぎず、アンリアルだと語られるが、やはり何よりの好物は、人間の鮮血だろう。これは太古から変わっていないはず。父役に吉田鋼太郎ということは、ここは『おっさんずラブ』の名コンビとして、田中圭の首筋にがぶりとかみついてほしいものだが。