そして、そんな武器を彼女が磨いてきたのは、男性が中心的な役割を果たす現場だった。女性芸人は「隙間の役割」をこなすのが仕事だったと大久保は語る。

「(『めちゃイケ』は)スタッフも男が多いし、メイン的な役割するのはナイナイはじめ男性が多いし、たまに役割いただきますけど、そしたらそこに入れられた女性芸人は、隙間の役割をちゃんとこなすのが仕事かなぐらいに思ってました」(『笑いの正体』同前)

 彼女からは(そして光浦からも)、お笑い芸人やバラエティ番組の世界は男性のものである、との言及が何度か行われている。それがどこまでが事実の報告なのか、諦念なのか、それとも皮肉なのかはわからないが、「基本バラエティって男芸人で成立するものと私は思ってるんですよ」というように(『とんねるずのみなさんのおかげでした』フジテレビ系、15年2月26日)。あるいは――

「幼少期、漫才ブームを見たり、たけしさんの『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)を聞いたりして、笑いだけを目的にやってるっていうのがカッコいいって思ってたんで。どっかでだから、ホント偏見ですけど小さいときからのアレで、どっかで笑いは男のものってね、ちょっと思ってるところがあるんですよね」(『笑いの正体』同前)