同番組ではほかに上沼恵美子や友近、横澤夏子、Aマッソ・加納、ゆりやんレトリィバァなどがVTR出演していた。彼女らも同じように「笑いの正体」について聞かれていたが、その回答は「生きざま」(上沼)、「麻薬」(友近)、「幸せ」(横澤)、「探す」(加納)、「エクスタシー」(ゆりやん)。

 これらと比べると大久保の「空気」という回答は異質である。ほかの女性芸人たちがどちらかといえば主体を自分に置き、その自分の生き方や幸福、快楽や探究などを笑いと結びつけているのに対し、大久保は笑いの主体を自分の外に置く。なお、相方の光浦も似たようなことを言っている。

「コントを作ることが好きとか、明確なことがあったらいいと思うの。でも、テレビタレントって、やっぱり要求されたことをいかに早く嗅ぎ取るかとかも仕事だったりもするもんで。なんて言ったらいいのかな、やっぱり人様の座標軸ありき」(『ボクらの時代』同前)

 空気を読む。要求を嗅ぎ取る。その場の座標軸を読み、自身のポジションを確認する。“セクハラ”や“下ネタ”といった表向きの武器を支えていた本当の武器は、そんな空気読みの能力なのではないか。