目次から、本書で言及されている選手たちを見てみよう。三浦知良、ラモス瑠偉、武田修宏、北澤豪……etc。現代でも知名度抜群の選手たちばかりだ。その全員が一つのクラブに所属していた、その事実だけでもいかに当時のヴェルディ川崎が人気チームだったかが窺い知れるだろう。

 では、なぜヴェルディ川崎がスター軍団足り得たのか?小見曰く、当時のヴェルディにはこんな明確な“チーム方針”があったそうだ。

「スター意識を持ち、すべてにおいてJリーグのリーダーたれ」
 これがヴェルディイレブンに課せられた使命である。
 常勝軍団で年棒もトップ、ルックスもトップと、トップづくめのヴェルディ・イレブン。
 スーパーヒーローたちはファンに夢を与えるのが仕事。グラウンドを離れてもカッコよくなくてはいけない。憧れのスターでなければいけないのだ。

(P148)

 なるほどなるほど。これは当時同じく親会社が同じであったプロ野球の読売巨人軍にも共通する思想でもある。では、選手達は具体的にどの様な振る舞いをしていたのか?本書では、サッカーに関する記述もあるにはあるのだが、選手達のド派手な私生活を詳かにしているので、どうしてもそちらに目がいってしまう。小見は<ファッションと車で競う見栄合戦>と題して、選手達の豪遊ぶりを暴露している。まず、ファッションに注目して読み進めてみよう。

 カッコよさを求められているから、パーティなんかそれこそファッションショー顔負けのスタイルで決めこんでいる。
カズがアルマーニの黒のタキシードに、アルマーニのエナメルの靴でキメると、北沢は上から下までヴェルサーチのキラキラファッション。
武田が負けてたまるか、とヴェルサーチの渋目のジャケットにパンツ。
「どう、いいでしょう。このカシミヤのジャケット40万円したんです」
武田が平気で耳打ちする。
カズもテレを見せないで堂々と、
「ぼくら、ファンに夢を与えるのが職業だからカッコよくしなくちゃね」
独身貴族の彼らは、もう見栄としか考えられないほどファッションに貪欲だ。

(P148)