だが、この30年間で出版されたサッカー本の中には、今の基準では絶対にアウトであろう暴露本や、真実など一言も書かれていないであろうトンデモ本も数多存在する。筆者カルロス矢吹は小学生の頃からサッカーを観戦しながら、そんなサッカー本達も収集し、愛で続けてきた。製作に関わった選手・関係者からしたら、顔から火が出てBBQが出来るほどの恥ずかしい発言も、私の手元には沢山ストックされている。

 というわけで、Jリーグ30周年を記念して、そんな日本サッカーと日本出版界が産み落としてきた珍本・奇本を取り上げて、過去の恥ずかしい発言や選手達の奇抜な発言・行動を掘り起こしてみよう!という余計なお世話この上ない企画が本連載である。

 前置きが長くなったが、早速初回に取り上げる本を紹介しよう。1994年に出版された『ヴェルディ川崎やんちゃ伝説』(イースト・プレス)。表題の通り、Jリーグ草創期の大人気クラブ、ヴェルディ川崎に所属していたスーパースター達の“やんちゃ”な素顔を描いた暴露本である。

「どこのチンピラ記者がそんな本を書いたんだ?」とお怒りの貴方。著者は、小見幸隆。元サッカー日本代表のM Fであり、指導者として北澤豪らヴェルディユース出身選手達を指導してきた人物であり、本書発売当時の肩書きは「読売日本サッカークラブスーパーバイザー」だった。そう、この本は世にも奇妙な“クラブ公認・公式暴露本”なのである。