サビ前で階段を一段飛ばしで2つ上り、サビ終わりで2つ下り元の位置へ。続く2コーラス目のサビ前で再び2つ上がり、さらに最後のサビで1つ上がる、というまったく同じ構造を持つ。計4回に渡る転調が同じ幅、同じタイミング(セクション)で発動されることからも、両曲は「似ている」と言い切って申し分ないだろう。
最終的な3ステップ分の転調が、ふたりそれぞれの卒業と未来への飛翔を暗示しているのかもしれない。
『ここにはないもの』の作曲者はナスカ氏。彼が杉山勝彦氏作曲の『サヨナラの意味』の転調を参照したかどうかは定かではない。しかし、ふたつの楽曲、斎藤と橋本の卒業に音楽的な共通点があるのは確かだ。乃木坂を長年推してきた経験と記憶から、それを耳で“嗅ぎ取った”ファンにあっぱれ。卒業する齋藤の今後に幸あれ。そして、この論考を彼女へのはなむけとする。