なおファンの間では、この「♯」2回分の転調が“乃木坂らしい”楽曲を構成する要素だという意見もある。
応用概念を省けば、基本的にキーは12種類。ピアノのドレミファソラシに存在する12の白鍵と黒鍵のどれを中心音にするかで決定する。これはドを1段目とした階段を思い浮かべるとわかりやすい。
図に示した通り、曲の起点キーとなるのは『ここにはないもの』が5段目、『サヨナラの意味』が4段目。ほとんど物理的な音が一致しないというのは、この一段の差(半音)のズレによるものである。
そして、問題のサビ前で仕掛けられているのが、階段を2ステップ(「♯」2回)分上る転調だ。しかもあえて専門的に言えば、両曲ともに「Ⅵsus4からの解決(=不協和音から協和音へシフトすること)」という躍動的なサウンドに導かれて上昇するのもポイント。
以下、もう一度両曲のサビ前部分を聴いてほしい。ぜひ「解決」の瞬間、『ここにはないもの』の「~涙を隠してる」における『る』/『サヨナラの意味』における「~かけがえのない足跡と…」の『と』に注目していただきたい。
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