四半世紀もの時をかけて価値観のアップデートを図り、過去を否定することで現在に価値を見出した『新世紀エヴァンゲリオン』(1995~2021年)と、最初からマルチバース(≒多様な価値観)を尊重することが主人公に宿命づけられているCGアニメ版『スパイダーマン』(2018~2023年/2024年に続編公開)。この差は、作品が経た時代の違いなのか、作品が生まれた国の違いなのか。

 ところで、タイトルの副題「アクロス・ザ・スパイダーバース(Across the Spider-Verse)」は、ビートルズが1969年に発表した楽曲「アクロス・ザ・ユニバース(Across the Universe/宇宙の至る所で)」を想起させる。同曲で何度もリフレインされる印象的なフレーズと言えば「Nothing’s gonna change my world」だが、「何ものも、僕の世界を変えられない」だなんて、なんだかすごく……エヴァっぽい言い回しだ。

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』の「エヴァみ」の画像4

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』
監督:ホアキン・ドス・サントス、ケンプ・パワーズ、ジャスティン・K・トンプソン
脚本:フィル・ロード&クリストファー・ミラー、デヴィッド・キャラハム
声優:シャメイク・ムーア、ヘイリー・スタインフェルド、ジェイク・ジョンソン
2023年、アメリカ/140分
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
6月16日(金)全国の映画館で公開
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