運命論と決定論に対する反旗
今作『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』には、前作とはまた別の「エヴァンゲリオンみ」がある。
本作の中心的命題に、「ひとりと全世界は両方救えない」というものがある。全体利益のためには個人を見殺しにしてもいいのか? 世界の大きな理(ことわり)に、個人は黙って従うしかないのか? その問いに対してマイルスがどんな行動を取るかが、物語後半のキモだ。
『新世紀エヴァンゲリオン』では「人類補完計画」という壮大な既定シナリオの実行部隊、いわば世界の理の守護者が、碇ゲンドウ率いるNERVだった。当初はシンジもそれに協力する立場だったが、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(12)以降は、シンジの上司である葛城ミサトを中心とした反NERV組織が「黙って従わない」姿勢を示すことになり、シンジもそこに合流する。
大きな力や大きな流れ、あるいは運命論や決定論。そういったものに対する個人もしくはコミュニティの反旗が、両作には共通して描かれているのだ。
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