◆こんな説が飛び交う助産院

「緊急時が心配だし、もっと近い場所にいくらでも助産院も病院もあるんですよね。だから、もう少し近くの施設ではどうかと提案したものの、絶対そこで産むんだと。自分の意見は、まったく聞き入れてもらえませんでした」

助産院離婚202306
話を聞いていくと、そこはかなりの有名どころといっていい助産院だった。筆者も過去のインタビューで、複数の人からその助産院の話を聞いたことがある。「お迎え棒1」「冷え取り健康法2」「白いものは体に毒3」「福島の物を食べてはいけない(放射能対策)」など、一般的な病院の産婦人科ではまず聞くことができないような、インパクトある話がたくさん出てきたのを覚えている。

1…陣痛をうながす効果を期待して、セックスを行うこと。一般に医学的根拠はないと言われているが、お迎え棒を説明する書籍などには「精液に含まれるホルモンが陣痛促進剤と同じような働きをする」などそれらしいことが書かれている。

2…進藤義晴医師の考案した民間療法。シルクと綿の靴下を重ね履きして毎日半身浴をし毒を出せば、頭寒足熱で健康になるというもの。

3…精製された砂糖や塩はミネラルがとれず「自然」ではないので好ましくないという考え方。「小麦粉は体を冷やす」というものもある。

「妻が助産院の指導で実践していたことで気になったのは、妊娠中はとにかく肉を食べろ、という話です。自分は仕事柄、比較的時間に余裕があったので、妊婦向けの低カロリーな野菜料理とかも作り置きしていたんですよね。でも妻は、とにかく肉を食べろと言われたから!と肉ざんまい」

助産院離婚202306
「自分は結婚以前から“肉ばかり食べると攻撃的になる”という知識を持っていたので、栄養だけでなくそうした部分の影響も気になっていたんですが……。ちなみに現在の子どもの食事も、肉と小麦製品ばかりです」

肉といっても食べ方や部位でも栄養面も異なるし、攻撃性云々の真偽は筆者にはわからないので、筆者としてはどちらの主張にも賛同しかねる。同時に気持ちの部分に関しては、せっかく作ったものを残される徒労感も、作ってくれたけど「いま食べたいものじゃない」となるのも、どちらも理解できる。ことに妊娠中となれば、気分も体調も嗜好もムラが出るだろうし。