わずか500の兵しかいない長篠城を15000もの武田軍が取り囲んだのが、天正3年(1575年)5月のこと。武田軍の攻撃によって同城の兵糧庫は炎上し、城内は食糧不足に悩まされたとされており、一説には、奥平軍は川から採ったタニシなどを食べ、飢えをしのぐしかない惨状だったといいます。
そこに鳥居強右衛門という雑兵が伝令役を志願し、家康に救援要請を出すため武田軍の包囲をかいくぐって岡崎城まで向かうのですが、彼の活躍をドラマでは「名もなきヒーロー、戦国版“走れメロス”」として描くようです。もっとも、長篠城は川沿いに位置していて、史実の強右衛門は水泳の達人だったということもあり、岡崎までの約60キロは、走破したというよりも主に水中を移動したのではと考えられますが……。
次回は、岡崎城において、瀬名と武田の歩き巫女・千代(古川琴音さん)がお互いを味方に取り込もうと直接対決するシーンも見どころとなるでしょうが、ドラマでこれまで描かれてきた性格を考えれば瀬名が武田方に付くことはありえないでしょうし、千代とてそう簡単に篭絡できないでしょうから、これは決裂することが(ほぼ)確実です。となれば、次に千代が狙うのは、人間としてかなり未熟な五徳でしょう。ドラマの五徳であれば、「瀬名と信康は裏で武田と組んでいて、信長の身をも危うくしている」などといった怪情報も容易く信じ込んでしまいそうな気もするのですよね……。ドラマの瀬名と信康が亡くなるまでの流れは、多くの史書で語られてきた内容から大きく逸脱しないものになりそうな気がしてきましたが、瀬名は「家康を命がけで守って死んでしまう」ということにもなりそうですから、驚くような展開が待ち構えているかもしれません。今後の放送が恐ろしくもあり、楽しみでもあります。
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