〈武田に包囲された奥三河の長篠城。城主・奥平信昌(白洲迅)はピンチを伝えるため、鳥居強右衛門(岡崎体育)を岡崎へ送り出す。強右衛門の手紙を受け取った家康(松本潤)は、織田に援護を求めると、信長(岡田准一)は二万を超える軍勢を率いて岡崎へやって来る。そして天下一統に突き進む信長は、参戦の条件として家康に驚くべき条件を提示する〉

 この「驚くべき条件」とは一体何を指すのか、そして次回のキーパーソンとなってくるであろう「奥三河の長篠城」城主・奥平信昌とはどんな人物だったのかについて、今回はお話ししていきましょう。

 「驚くべき条件」が何かについては、筆者の周囲では、家康が長女・亀姫を奥平信昌と結婚させることではないか、という声がありました。史実では、信長の強い意向によって亀姫は信昌と婚約したとされ、長篠の戦いの翌年、信昌との婚儀が執り行われました。

 ドラマでは、前回描かれた天正3年(1575年)の大岡弥四郎事件の時点で、亀姫は数え歳で16歳です。当時の年齢感覚では亀姫は結婚適齢期の女性ですが、ドラマではなぜか、まだ幼い少女のように當真あみさんが演じておられるので、彼女の結婚は確かに「驚くべき条件」といえるかもしれません。しかし、すでに天正元年(1573年)ごろから、史実の家康は奥平信昌を味方に付けようとさまざまな交渉をしていたことが知られています。