◆夫の浮気相手が、烈火のごとく怒った理由

 そして陽一は、一度だけ関係をもってしまった結衣花(さとうほなみ)に、妻に浮気を打ち明けたと告げる。結衣花は烈火のごとく怒り、「自分の心に刺さっていた杭抜いて、代わりに奥さんにそれ刺しただけでしょ。それで今、奥さん、血を流してる」と詰め寄る。けだし名言。浮気を簡単に妻に白状する夫は、嘘をつき続けることに耐えられないだけなのかもしれない。

『あなたがしてくれなくても』第7話より
 家を空けていたみちを心配して、夫が会社にやってくる。対応してくれたのは華。妻に伝えたいことは「ないです」と言った陽一の様子をみちに伝えながら、「先輩も先輩だけど、ダンナさんもなあ。どうしてこういうときに『帰ってこい』の一言が言えないかな」と嘆く。だがみちは、「それが陽ちゃんだから」と微笑む。家に戻ったみちに、陽一は正座をし、「許さなくていいから。それでもここにいてほしい」と言う。

 前回に引き続き、いちばんまっとうに生きているのは、いちばん無骨で不器用な陽一に見えてくる。